2015年12月10日

ガンの予防に正常細胞の働きが重要。クラウドファンディングによる研究費獲得にチャレンジ

マイナビニュースの「科学界のタブー、がん“予防”に「細胞競合」という新しい研究分野から挑む - 北大 藤田恭之教授」より。

実は「これを食べればがんを予防できる!」といったような話題をよく耳にすることがあるかもしれないが、実はこれらを科学的に実証することは難しく、科学の世界においてがん“予防”の研究はこれまでタブー視されてきた分野であるといいます。

藤田教授はこの科学界のタブーに切り込み「がんの予防薬」の開発を目指しています。

藤田教授が着目したのは、現在臨床の対象外となっており、がん研究においてブラックボックスとなっているがんの「超早期病変」です。

がんは数年かけて徐々に蓄積されていく病気で、がん遺伝子およびがん抑制遺伝子にいくつかの変異が入ることによって発症しますが、「超早期病変」だと病変は見かけ上正常にみえるため、現在の病理診断技術では発見することができなく、欧米では今年から、潜在的な病変の早期発見と対策という研究分野に予算が付けられているといいますが、日本では残念ながらそういった事例はまだないのです。

藤田教授は2009年、正常な細胞にテトラサイクリンという抗生物質を加えることで、がんタンパク質を発現させるという細胞を作成。これを利用して、正常細胞に囲まれたところにがん細胞が存在するという、これまでブラックボックスとなっていたがんの超初期段階の環境を再現しました。

この際、正常細胞の社会からがん細胞がはじき出され、体外に排出される方向へ抜けていくという、いわば“村八分”的な現象が起こったという。これが、藤田教授がメインテーマとして研究に取り組む「細胞競合」です。

つまり「“チョイ悪”の腫瘍細胞は周りの正常細胞がなんとか対応するのではないだろうか」という社会的な観点が新しいのです。

この時、正常細胞と変異細胞の境界で「ビメンチン」が正常細胞側からの影響で濃縮。変異細胞を攻撃します。

細胞競合は平成26年〜平成30年の文部科学省 新学術領域研究に採択されており、今後ますます発展していくものと思われる分野です。

しかし、がんの“予防”を目的とした研究自体にはこの科学研究費は利用できないといいます。

そこで、藤田教授は現在、世界初のがん予防薬および診断薬を「細胞競合」という現象を利用して開発することを目標に、クラウドファンディングによる研究費獲得にチャレンジしています。

イギリスでは「Cancer Research UK」というがん研究への寄付活動を行う組織がある。Cancer Research UKではたとえば、街中にある同組織の店舗で衣服などを購入すると、それががん研究への資金となる。藤田教授によると「欧米では、国からの研究費のほかに一般の方のドネーション(寄付)が大きな比重を占めている」といいます。

藤田教授の目指す今回のクラウドファンディングの目標である500万円。これは決して大きな金額ではないです。しかし、今回のチャレンジの成否が、日本におけるがん研究、ひいてはサイエンスへの寄付文化を根付かせることができるかどうかの試金石となりそうです。

「細胞競合という新しい研究分野を利用して、これまでタブー視されてきたがんの予防に、クラウドファンディングを通じてみなさんと一緒に取り組んでいきたい」(藤田教授)
posted by カミガタ at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | がん研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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